アダルトチルドレン(AC)のための映画をご紹介します。
さまざまな人々の心の葛藤が交錯する作品です。
ACがテーマかどうかは見る人の解釈によるかもしれませんが、私はこの中の映画のひとつに出てくる「過去から逃げても、過去は追いかけてくる。
過去から逃えている限り幸せにはなれないんだ」という主旨のセリフが、ACとしてぐさっと心に突き刺さりました。
これらの映画を見ると、「苦しいのも悩んでいるのも自分だけじゃないんだ」ととても勇気づけられます。
また、「どうしてこんなに私の気持ちがわかるのだろう?」と思わずつぶやいてしまいました。
自己啓発などの本を読むと、人間の行動は潜在意識に支配されながら生きているのだそうです。
その小さい頃から積み重ねてきた潜在意識が幸福なものだったなら、私はこんなに苦しまなくてもよかったのに、とつい思ってしまいます。
これらの映画を観ると自分のことのようで心が痛みますが、DVDや小説って自分を客観的に見ることができるなと実感しています。
アダルトチルドレンって回転木馬みたいに思考回路がぐるぐる回っているので、映画や本が回復への糸口になってくれるのです。
1. その葛藤が一番辛い『愛を乞うひと』
これは、アダルトチルドレンなら誰もが共感できる映画だと思います。
私も親に虐待されていたので、虐待のシーンではフラッシュバックが起こりました。だから、フラッシュバックが起こりそうな方は、この映画はみないでくださいね。気分が悪くなります。ヒステリックな鬼親は、まるで私の母そのものでした。
同じような経験をした人がいると思うと心が痛みます。
私は取り繕っていまでも親と接しているけど、父親も母親は昔のことはすっかり忘れている。そして無理難題を押し付けてくるので実家には寄り付きません。
親は死んでいようと生きていようがどうでもいい、というのが私の本音です。
結婚して実家を離れ、私は自分を母親から守れて本当によかったと思う。
夫も暴力を振るう人でなくて感謝している。
ただ、自分の子供に対して虐待をしてはいけないという思いとともに、あまりに不遇な自分の子供時代と比べて、ときに憎らしく思ってしまうときがある。
私はその葛藤が一番辛いのです。
それは私の妹も言っていたけれど……。
この映画の主人公は、きっと幼少時代に父親にきちんと愛されたのだろう。
そうでなければDVの連鎖を断ち切るなど本当に難しいと思う。
私に親を慕う気持ちはもはやない。
しいていえばあきらめの気持ち。
そんな気持ちを誰かにわかってもらえたらどんなにいいだろうとは思う。
この映画を見て、私の推測なのですが、母親も実の母親から似たような虐待を受けていたのではないでしょうか。
なぜなら、私の家がそうだから。
母親が自分の母親――つまり私の祖母との関係を消化しきれずに、娘にぶつけていたのではないかということです。
子育てをすることは、自分の子供時代を振り返ることだから。
私の祖母は仕事を持っていたので日常的に密着した母子関係ではなかったけれど、心理的に私の母は祖母の奴隷のように自分の意見も言えない人形のようだったなと今振り返ると思います。
祖母の愛は長男である母の弟に向かい、自分は満足に愛してもらえなかったといつもこぼしていました。
だから娘の私に愛を求めるけど、それが苦しくてたまらなかった。
仏教で言う「渇愛」の状態で決して満足しなかったから。
私は愛が欲しい、愛を乞う事を自覚していますが、母親にはそれがないように思えます。
児童虐待のテーマをしっかり描ききった作品です。(※フラッシュバックにご注意ください)
作品情報: 映画『愛を乞うひと』
2. その呪縛に縛られている『シッピング・ニュース』
まさに機能不全家庭そのもの!この映画を見てそう思いました。
身内、特に夫婦間、血を分けた兄弟に対しては、遠慮なく感情を無防備なまでに許します。
他人や友人のように簡単に切れることはない、家族という特有で不思議な人間関係。
例え機能不全の家庭から離れても、心の中でその呪縛に縛られている。
家族に人生を左右されるような仕打ちを受けても子供だから逃れられないし、ましてや危険が周りの他人に知れてもなかなか介入が許されない、特有で不思議な家庭という社会。
だからこそ、私の子供時代には児童虐待が密室で行われ、近所の人も親戚の人もまわりの人も虐待を知っていても知らんぷりしていたのだと思います。
今でもニュースになる児童虐待は一部だと私は考えています。
潜在的には機能不全家族の連鎖があちこちでおきているのです。
映画は、文学的な香りを持った秀作です。
妻ペタル(ケイト・ブランシェット)を失い、一人娘のバニーを抱えて失意のどん底にいた弱気な中年男クォイル(ケビン・スペイシー)の元に叔母(ジュディ・デンチ)が訪ねてきます。
彼女は何か秘密を持っている様子だが明かさず、クォイルに家族の生まれ故郷、ニューファンドランド島に帰ろうと勧める。
未知の漁村の小さな新聞社で記者の仕事を得た彼は、初めて自分の家族の過去を知っていく。
彼は自分を虐待した父と、身勝手で身持ちが悪かった妻の記憶に苛まれる。
その一方、夫に死なれ一人息子と暮らす若い母親ウェイヴィー(ジュリアン・ムーア)と親しくなっていく……。
最後に倒壊する「家」が「過去の自己」「トラウマ」の象徴として描かれているように感じました。
アダルトチルドレンにとっては、自己再生とは何かヒントをもらえる作品です。
DVDと違って小説も読むと作品の広がりがさらに感じられると思います。
作品情報・原作:
3. 過去は捨てても追いかけてくる『マグノリア コレクターズ・エディション』
これは観続けるために根性がいる群像映画です。
群像映画は主人公がいないのが一般的で、ころころと対象が変わります。
その繋がりを楽しむのが群像映画なのです。
つまり、普通の映画よりも少し脳みそを使います。
これを難なく観るためには、登場人物たちの人生に共感したり、興味をひきたたせる何かを感じなければなりません。
でも、複雑な家庭環境に育ったアダルトチルドレンならこの映画は問題ないでしょう。
作品全体から醸し出される暗く陰鬱で、人々のどうしようもない悲痛な嘆き。
自分で自分を持て余すワケありの者たち。
まるでアダルトチルドレンの混乱した人間模様のようです。
忌わしい過去に囚われ続ける、弱く哀しい人々、まやかしの名声やドラッグの力を借りて生きる姿は、まさにアダルトチルドレンの体裁を取り繕う姿そのもの。
さらに注目したいのは、父と子の関係です。
どのパターンも最悪なケースで修復など不可能に思えます。
けれども必要なのは修復などではなく、癒しこそが救いなのだと気づかせてくれる。
アダルトチルドレンの怒りの解放は自分自身の癒やしなのだから。
とにかく観る者を圧倒させます。
「過去は捨てても追いかけてくる」――まさにアダルトチルドレンの回復のプロセスだと思います。
なお、「マグノリア コレクターズ・エディション」はなかなかレンタル店で見つけられませんでした。
ネットで調べてみると、やはり置いてある店がかなり少ないようです。
複雑な構成と3時間という内容のため、当時の数字が悪かったのでしょうか。
作品情報: 映画『マグノリア コレクターズ・エディション』
4. 回復への糸口には『青の炎』
これは、アダルトチルドレンの解決の糸口になる映画です。
『青の炎』はアダルトチルドレンにとって共感できる作品であり、「でも、うーん。それはちょっと違うんじゃない?」と思う部分もある作品です。
でもおおむね私的にはトータルして満足のいく映画でした。
テーマも時代性もまさしくアダルトチルドレンの気持ちに沿うもので、見ていてとても胸が痛みました。
主役の二宮和也が体中から孤独がにじみ出ているような少年を演じていて、精一杯もがき苦しんで段々追い詰められてゆきます。
取調べ室での挑むような、淡々とした感情の読み取れない瞳。
その奥に燃える、暗く燃え盛るような青い炎をぜひ体感してみてください。
アダルトチルドレンのあなたならきっとわかるはずです。
DVDと違って小説も読むと作品の広がりがさらに感じられると思います。
作品情報・原作:



コメント