子供たちはこの春、二人とも親元を巣立っていきましたが自分の望むそれぞれの道を今は歩いています。
上の息子は将来、「人々が集えてコミュニティーをつくっていけるような建物を建てたい」という夢を持ち、一級建築士をめざすため、大学に行っています。
下の娘は将来、「自分が作ったアクセサリーで人を幸せな気持ちにしたい」ということで彫金の職人になるため、現在は専門学校で修行しています。
私が育った時代の価値観で大学のランク、世間体などを考えたらこの考えは鼻であしらわれると思います。事実、まだその考えが主流だとも感じます。
でも一流大学の名前で入学したはいいが自分のやりたいこともわからず、卒業後、引きこもりになったり、事件を起こしたり、そういうニュースをみると悲しい気持ちになります。自分の道をみつけられなかったエネルギーが悪い方向に進んでしまったように感じるのです。
いま、学校の片隅で非常勤職員として働いていますが学歴に関してそれは現場でも感じるところです。日本の教育は世界的に見ても優秀といわれていますがそれはその枠にはまった子だけという定義があると思います。先生たちも枠にはまらない子に対しては「それは親が考えるべき。」という考えがあると感じます。
事実、教員は発達障害を持った子供の対応をしきれなくてふれあい補助員という先生がクラスに入っています。そうしたことからも私が育った時代に比べてグレーゾーンの子供たちが増えてきているように思います。グレーゾーンといってもとても広義なものであるため、日本の教育では対応しきれないというのが現状なのでしょう。
私のブログの更新が止まったころ、私はこの問題に直面していました。子供たちが小学校の中学年になっても鏡文字を書いたり、漢字が書けなかったり、促音が抜けてしまったり、私がいくらつきっきりで教えても治らないし、覚えなかったのです。
もしかしたら「学習障害かもしれない」と小学校のそれぞれの担任や心理士の先生に相談しましたが誰にきいても「お子さんたちはいたって普通です」としかいいません。面談の時は「お母さんが(勉強を文字を)みてあげてください」と言われ続け、それをやっているのにできない子供たちを前にして私はノイローゼになりそうでした。
たぶん、先生たちはもっと重い症状の発達障害児をみているため、私の子供たちは「普通だ」といわれたのだと思います。が日本の教育は学歴社会なのでこれからのことを考えると「このままでは高校に行けないのではないか」と私は胸がつぶれそうでした。
誰に相談しても埒が明かないので私は直接、児童相談所に電話をかけて状況を説明しました。そして後日、子供たちをつれてそれぞれWISCを受けました。結果からいうと二人とも他は普通でワーキングメモリが低いのが原因とのことでした。
アダルトチルドレン用語もそうですが発達障害の専門用語もとても難しく、このころ私はまたネットで毎晩、ネットサーフィンをしていました。
そしてそれを踏まえた上で私はまた、学校に相談に行きました。担任が子供の苦手な面に配慮はしてくれることになりましたが基本的に先生たちを含め、児童相談所の心理士も枠にはまらない子に対して「従来の教育に乗れないならこれからの進路は独自に親が考えるべき」という考えであることに変わりはありませんでした。なんのアドバイスもないまま、先に進むのは本当に怖かったです。
この後、中学から高校に進むことになるのですが私は次第に「従来の日本の教育はうちの子に合わない」と判断しました。
従来型のワーキングメモリを使った詰め込み式の暗記教育は、いま問題になっています。いろいろ改善されてはきているようですがいまでも学校の勉強はこの学習法が主流でよい成績をとるには記憶力がものをいいます。
だからワーキングメモリの低い私の子供たちが暗記教育の学校に行っても劣等感が助長されるだけ、自己肯定感が低くなって生きる力を失ってしまいかねないと私は考えました。これはアダルトチルドレンの私にとってどうしても避けたいことでした。
ではどうするか。結局、彼らの才能を伸ばせる私学に入れることになりました。そして息子は親元を離れ、寮に入ってそこで自分の夢をはぐくみました。娘は早くから絵の才能があったので通学で通信制、専門学校がついたダブルスクールの高校に進学しました。
私はFPの免許を持っているのですがこの進学は私の予想を大きく変えました。アダルトチルドレンの私にとっても大きな試練になったのです。
ただ、子供たちには得意なことを伸ばす教育をしようと決めた時点で私の気持ちは楽になりました。自分が親の考えを押し付けられて嫌だった経験がそうさせたのかもしれません。
いま彼らは自分の夢に向かって自立の道を歩いています。
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