叶えられなかった願い

今日は息子の運動会でした。最近は６月にやるところも多いそうで１年生は４月からの短い期間での練習で大変そうでした。

さて息子は小学校初めての運動会ということで以前からとても楽しみにしていました。運動会の日は用意も万端で早くいきたくてウズウズしていて隣の子が迎えに来ると家を飛び出していきました。

私が小学生の頃、運動会は嫌いでした。走るのも遅かったし、友達と何かを協力してやるというのも母に言わせればのろまだったので苦手だったのです。それに加えて先生方の指導もきっちり規則正しく足並みそろえて何回も練習させられたので運動会はゆううつでした。

会社に入って同僚の、何事にも積極的な女の子が「私、運動会大好きだった。もう待ち遠しくて！」と嬉しそうに思い出話をするのがとても新鮮で不思議な感じでした。彼女のポジティブな明るさは幼少の時からのものだろうなと思い、彼女の幸せな子供時代を想像しました。と同時に「私とはなんて違うんだろう」という驚きと悲しみも感じました。

アダルトチルドレンは必要以上に子供の教育に神経質かもしれません。少なくとも私はそうです。なぜなら自分の二の舞を踏ませたくないから。だからいろいろなことを考え、心配し、余計な神経をすり減らして疲れてしまうことが多いのです。

なかには取り越し苦労で済むこともありますがうまくいかないと「私が悪いからだ」とすぐ自分を追いつめて責めたり、対処の仕方がよくわからないので自暴破棄になったり、混乱したりします。

最近は自分の手に負えないことは人の手を借りてもいいし、誰かに教えてもらえばいいのだと思えるようになりましたが以前は自分一人で抱え込んでしまうところがありました。

それはきっと私が子供時代に母から「お母さんは知らない。私に頼らないで」と言われ続けてきたので自分で何とかしなければと思っていたからだと思うのです。同時にこれは母が子供の頃から祖母から言われてきたことでもありました。だから母は自分で責任をとるということを放棄しました。若い頃は祖母のいいなりだったのです。それがここへきて立場が逆転し、祖母に言いたい放題いうようになりました。だから「私は母のようにはなりたくない。」と考えました。

それには自分で考え、責任をとるくせをつけなければなりませんでした。いえ、いまだって修行中なのです。すぐ母のように人のせいにしますから…。でも未熟ながらも努力することは大切だと思っています。

また以前、幼稚園で息子の運動会のお知らせを母にしたところ、「私、運動会って大嫌い。あんたたちの運動会も嫌だったけど途中から親が行かなくてもよくなってよかったわ。運動会は、もうたくさん。孫のでも嫌だわ。」と言われました。だからそれ以来、母には運動会の知らせはしていません。

夫の両親は遠方なのでやはり来れないのですが夫の甥の運動会には必ず行っているようです。夫が子供の頃、運動会は一大イベントで親が見に来てくれることが嬉しかったと言っていました。

これについて私なりに考えたのですが運動会というのは親の応援を形にしているイベントなのではないかなと思いました。人は人生の中でいろいろなことがあると思います。嬉しいことや喜ばしいことばかりでなく、辛いこと、悲しいこと、乗り越えていかなければならないことがたくさんあります。そんなとき、親が応援してくれたらどんなに心強いでしょう。「自分は愛されているんだ」「大切に思われているんだ」と感じることができるでしょう。そして勇気が湧いてくるのだと思います。

それが運動会の応援に似ていると感じるのは私だけでしょうか。運動会は声を振り絞って我が子を応援します。もちろん我が子だけでなく一生懸命戦っている子供をみればたとえ敵のチームでも「ガンバレ！」と応援したくなるのが人情でしょう。それが目に見える応援の形だと思うのです。普段はそんなことは照れくさくていえない親でも運動会では我が子を応援したいがために一生懸命、お弁当をつくっって駆けつけたり、席取りしたり、ビデオやカメラを回します。どの親も一生懸命です。

でもうちの母は運動会が嫌いでした。私たちの運動会に任意で行かなくてもよくなったら一度も見に来てはくれませんでした。だから私たちが人生で困難に出会ったときの応援も「なし」でした。「自分で何とかしなさい」といわれました。でもあえていわせてもらえば応援だけでもして欲しかった。何もしてくれなくても「あなたを応援しているよ」というメッセージだけでよかった。でもその私の願いは叶えられることはなかった。

だからことある事に私は子供に「いつもあなたを応援しているよ」という言葉を口にします。子供たちはうなずいて私は彼らを抱きしめます。

だから私は運動会にいくといろいろなことが交差して目頭が熱くなってしまいます。そして「どうか子供たちが自分の力を生かしてすくすくと成長しますように」といつも心の中で祈っています。