生きづらさを抱えるアダルトチルドレン(AC)は、決して少なくありません。 それは、機能不全家族からくる「世代間連鎖」が原因であることが少なくないからです。では、自分を苦しめるその生きづらさのルーツを客観的に理解するには、どうしたらいいのでしょうか。
その大きなヒントをくれたのが、『アダルトチルドレン・シンドローム―自己発見と回復のためのステップ』という本でした。
この本には、家系をさかのぼって原因を探るという項目があり、私もそれをもとに家系図をさかのぼり、どこで世代間連鎖が始まったのか、その原因は何だったのかに行き着いたのでした。
家系図(ジェノグラム)で生きづらさのルーツを探る
一般的に家系図は、遺産相続の手続きや自分のルーツを知りたいという理由で作成する人が多いようです。ただ、アダルトチルドレンの場合、自分の生きづらさの原因を探るのが目的なので、大がかりなルーツの解明までは必要ありません。
参考までに、パソコンで簡単に作成できるツールをご紹介しておきます(※ダウンロードやご利用は自己責任でお願いします)。
パソコンで作ったあとは、プリンターで印刷して手元に保存しておくことをおすすめします。 こうした家系図(ジェノグラム)を使って自分の問題の原因を理解するのは、親にされたことを見つめるだけでなく、「自分がパートナーや子どもに対してどのように関わっていくことになるのか」を知るためでもあります。家系図を作成したあとは、それまで絡まり合っていた頭の中が整理され、当時の私のように、ふっと息ができるようにすっきりすることでしょう。
戦争の影と、受け継がれてきた世代間連鎖
私の母の子育ては、祖母のやり方をそのまま受け継いだものでした。 祖母は女手一つで2人の子どもを育てた人で、母の話では祖母からも手を上げられたり、言葉の暴力を振るわれたりしたらしいのです。祖母自身も、身体にも心にも余裕がなかったのでしょう。そしてそれは、専業主婦で密室で行われた母の子育てにも影響を与え、エスカレートしていきました。
祖母は大正生まれの職業婦人で、人間関係も円滑だったといいます。けれど、その夫である私の祖父は、戦争で若くして亡くなりました。 「父が戦争に行く駅のプラットホームで、2歳の母は覚えていないけど『ばいちゃ。ばいちゃ。』と父に手を振ったそうだ。どんなにか心残りだったでしょうねぇ」 母が涙ぐみながらそう語ってくれたことがあります。
母は結婚するとき、祖父と祖母の結婚写真と、自分を抱いた祖父の写真をこっそり持ってきて、子どもだった私たち兄弟に「私はててなし子じゃないんだから。こうして証拠もある。」と語気強く言っていました。きっと子ども時代に、心ない言葉に悔しい思いをしたのだと思います。
祖父や祖母の気持ち、母やその兄弟がたどってきた道を振り返るにつけ、戦争とは大きな後遺症をこの現代の私たちにまで遺すのだということを感じずにはいられません。 戦後生まれの私が言うのも生意気かもしれませんが、戦争は絶対にしてはいけない。このことは、これからの子どもたちにも伝えていかなければならないと強く思っています。
家系をたどる中で見えてきた「思いがけないこと」
ACの専門書を見ると、機能不全の背景にはしばしば「アルコール問題」が隠れていることがあります。 最初は、両親も酒はほとんど飲まないし、おじいさんたちも楽しみにたしむ程度だったから関係ないと思っていました。
しかし、家系図を作っていく中で、父方のひいおじいさんに当たる人が、どうやら「アルコール依存症」だったのではないかと思い至ったのです。 ひいおじいさんは庄屋で大地主であったにも関わらず、大酒飲みで身上を潰してしまったと聞きました。おじいさんはその実家を助けるために働き続け、夜の見回り中の不慮の事故で亡くなりました。10人兄弟の長兄として、本当におじいさんは大変だったはずです。
そうした家系をさかのぼることで、世代間連鎖の本当の源泉が見えてきました。 人の顔色をうかがい、ビクビクして生きなければならなかった背景には、何世代にもわたって受け継がれてきたこうした歴史があったのです。
人の顔や目をみることができなかった若い頃
私が自分がACだと気づいたのは、子育ての真っ最中のことでした。 ネットが普及し、生きづらさから必死に検索していくうちに自分がACであると確信し、ジェノグラムを使って原因を理解していきました。
ただ、「頭で理解できたこと」と「現実」は違います。 分かったからといって、今までのACの習慣を即座に変えることなんてできませんでした。
私は若い頃、人の顔や目をみることができませんでした。小さい頃から、親の顔色をうかがうのが怖かったのが原因だと思います。 でも、大人になってから少しずつ、意識して相手の顔を見られるようにしていきました。
失敗してもいいんです。 少しの失敗なら、痛手も小さくて済みます。ACは、その小さな失敗からちゃんと学んでいきます。決して無駄ではないし、それが私たちの本当の成長になります。
大きな賭けに出なくてもいい。 あなたは、そのままのあなたでいいんだよって、昔の自分にそう言って背中を押してあげたかった。
💡 関連記事のご案内 自分を見つめなおし、アダルトチルドレンの癒しと回復を進めるための具体的なステップについては、こちらのセルフスタディキットも参考にしてみてくださいね。 👉 西尾和美の アダルトチルドレン 癒しと回復のためのセルフスタディキット
自分の手で、人生のハンドルを握り直す
機能不全家族の歴史や、家系に眠る連鎖に気づいたとき、私たちは過去の痛みを客観的に見つめ直すことができます。 そこから回復していくためには、誰かに救ってもらうのを待つのではなく、自分自身が強い意志を持って「自分の問題」に向き合っていく必要があります。
まずは、自分が今感じている生きづらさの本当の原因を見つけること。 もし自分ひとりでの解決が難しいと感じるなら、専門の心理カウンセラーの力を借りるのも確かな選択肢です(※継続的な料金負担という側面もありますので、ご自身のペースに合わせて選んでくださいね)。
もし、過去の鎖を自分の手でそっと外し、これからの人生を軽やかに生きていきたいと感じたら、こちらのマニュアルもそっと開いてみてください。 👉 過去の鎖をはずし、自由になるために。過去から逃げずに幸せになる方法
まとめ
家系をさかのぼり、親やそのまた親の歩んできた歴史を知ることは、自分を苦しめていた生きづらさの正体を解き明かす大きな手がかりになります。
私が今、古いヴィンテージの帯をほどき、一つひとつ丁寧にステッチを重ねて自分だけのバッグを作っているのも、もしかしたら、過去に傷つけられ失われた時間のかけらに新しい命を吹き込み、自分の手で人生の輝きを取り戻すための「グリーフワーク」の続きなのかもしれません。
完璧じゃなくていい。失敗しながらでも、自分のペースでいい。 あなたの人生のハンドルを握るのは、他の誰でもなく、あなた自身です。
過去の歴史をそっと胸に抱きながら、今日という日を、あなた自身の足で一歩ずつ大切に歩いていきましょう。


コメント