「お金は湧き出てくるものではない」と頭では分かっていても、ふとした瞬間に子供のころの記憶がよみがえり、お金を使うことに対する強い罪悪感や恐怖にとらわれてしまうことはありませんか?
いま自分が親になって、家計をやりくりする大変さは痛いほどよく分かります。しかし、私が育った実家の金銭感覚は、今振り返ってもやはり異常で、心に深い傷(トラウマ)を残すものでした。
母の歪んだ金銭管理と、植え付けられた罪悪感
我が家ではサラリーマンの父が稼ぎ、財布のすべては母が握っていました。親戚からいただいたお小遣いさえも「お母さんたちが付き合いをしているからいただけるんだからね」と取り上げられ、手元に残るのはほんのわずか。
小学生のころ、ピアノの帰りに立ち寄った休憩所でのガチャガチャが、私の金銭感覚に関する原点です。ほんの出来心で、妹と二人で「お母さんに内緒だよ」とガチャガチャを回してしまいました。 それが妹の告発によって母にバレたとき、「お父さんが一生懸命働いたお金をなんだと思っているの!お母さんはもう知らないからっ!」と、私を置いて母と妹は歩いて行ってしまいました。後ろを振り返りながらあかんべーをする妹の姿と、どうしようもない罪悪感。あの時の記憶は、大人になった今でも鮮明に心に刻まれています。
それ以来、私は「無駄づかいをしてはいけない」と幼心に固く誓い、自分のためにお金を使うことにずっと蓋をして生きてきました。
対照的だったきょうだいの末路
一方で、母に厳しく抑圧されていた妹は、働き出すと反動で大量のぬいぐるみや洋服を買い漁る「浪費」に走りました。そして、母に溺愛されていた弟は好き勝手にお金を使い込み、高校生の頃には財布からこっそりお金を抜き取るように。最終的には、行きたい旅行の費用を出してもらえないと暴れ、玄関の壁に大穴をあけるほどのトラブルに発展しました。親族会議が開かれ、家の中は常にピリピリとした緊迫感に包まれていたのです。
両親は、子どもたちに「お金の自由と責任のバランス」を教えることができず、共依存のまま問題フタをし続けました。
反面教師にして、自分の人生を歩む
我が家のこうした壮絶な金銭トラブルや、母から受けた心理的圧迫は、今でも私の心の中で消えないグリーフ(深い悲しみや喪失)として残っています。
「両親のようには絶対ならない」 社会人になってから、私は自分自身にそう誓いました。
だからこそ、いま自分が親になり、息子には同じ苦しみを味わせたくない。「お金は計画的に使い、働くことで得る喜びを知る」という健全な金銭教育を、我が家ではイチから組み立て直しています(※息子の金銭教育の実践については[こちらの記事(子どもの金銭教育について)]をご覧ください)。
親の呪縛やトラウマを乗り越えるのは簡単なことではありません。でも、過去の傷にしっかり向き合い、自分の代でその連鎖を断ち切ることは十分にできます。もし今、かつての私と同じように「お金を使うことへの罪悪感」や「毒親との関係」で苦しんでいる方がいたら、どうかご自身の心を一番に労ってあげてくださいね。
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